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別室登校について

しばらく個人的なコラムが多かったので、今日はスクールカウンセリングについてお話します。発達障害とスクールカウンセリングについての講演依頼をいただいたので、「特別支援」の中の、発達障害傾向を持つ生徒の現状についてはそちらでお話するとして、今日は本人に特別な発達障害の見られない生徒の不登校についてお話しします。

私が学校相談の仕事に関わって5年が経ちました。初めて勤めた中学校は県下一の生徒数を誇る大規模校だったので、生徒指導と相談部門が明確に分かれていて、別室登校のシステムがすでにほぼ完成されていました。

私はそこで、多くの生徒と直接過ごしてシステムと不登校について学ぶことができました。

その学校では、特別支援学級、外国籍生徒支援の教室のならびに一緒に、カウンセリング室が設けられ、教室を半分に仕切り、ミニサイズのホームルームとミニサイズの職員室と丸テーブルが置かれた相談室兼ランチルームがありました。

不登校に陥った生徒は親子でこの部屋を紹介され、通えるようならば学校生活をこの教室で過ごします。論議があるものの、定期試験もここで受験して成績評価をつけてもらいました。その結果3年間別室登校をしても高校進学できる生徒がいるほど、充実したシステムができました。

各自治体には「適応指導教室」という部屋があり、校区の中学に通えない子も丁寧な関わりの先生と過ごすことができます。同世代との関わりの結びにくい子や、家庭の事情が複雑で学校に通うことが難しい子も通うことができ、教育委員会の組織のため、定期的に学校と連絡してチャレンジ登校などの刺激をして、学校へ返していくシステムです。

私が経験した別室登校の仕組みは、それよりもさらに教室に近いため、生徒の気持ちが楽なので、本当に素晴らしいシステムと思いました。

スクールカウンセラーとなってその学校を離れていくつかの学校にお邪魔しますが、なかなかそこまでの対応ができる学校はありません。

第一に人材の問題、第二に教室の問題。不登校対策といいつつも人もお金も出ないので、なかなか専用の部屋を設けて教師を配置するという余裕はありません。

第三に教師の考え方の問題があります。教室に通えない一人の生徒のために教師が関わるのはおかしいと考える先生がいることも事実です。確かに特別扱いで税金の不公平な使い方と指摘されても仕方のない方法ではあります。保護者や本人に「うちのために先生方にお世話をかけて」という姿勢があれば、先生だって人の子ですから、熱い気持ちで接してくれますが、そういう家庭ばかりとも言えない世の中ですから、「普通の公立学校の教師はクラスという集団で一人つくものだ」と言う意見は正論なのです。

しかしそれでも実態としてはまだクラスに一人や二人は不登校がいるのです。

①発達障害系のコミュニケーションの困難で教室での関係が難しい生徒。

②家庭の事情(単身家庭では両親の話題についていけず不登校に陥る単身家庭の子)を抱える生徒。これは思春期になって自分の姿を見なおす時期に他人との違いを意識してしまうケース。

③思春期に発症しやすい精神疾患の前駆症状として学校でうまくいかない生徒。

④保護者が不在で、登校する環境にない生徒。

大きく分けるとこの中のどれかに当てはまることになり、時には①+②のように複合して現れることもあるわけです。

早くにそれを見抜き、教室に近い別室で、学校生活を送りつつ、時に家庭的なムードで本人の不安を和らげることができれば荒波のような思春期を乗り越えて自分で進んで行くことができるのではないかと考えています。

現在も難しい現状を承知の上で、別室登校の環境を作ろうと努力しています。今や特別支援という言葉は障害児だけのものではなくなり、すべての「特に気に掛けてあげなければならない生徒」のためにあると発想を転換すると、特別支援の仕組みの中で教室や人材や教材を工夫することができます。

教室のネーミングも「1組」「2組」というように用途に応じて使いやすいものに変わってきました。

これだけが正しい方法とは思いませんが、発達心理関係の講習でも、教育委員会系の研修でも、こうした取り組みの旗振りとなって欲しいと言われるのが学校現場の心理職。専門の立場から必要性を説いて行けというわけです。

私自身もまず、学校に通うことを薦めています。どんな形でも学校生活を送るということが大切です。教科学習だけでなく、社会性など人としての心理発達にも学校という集団が必要だからです。もちろん本当に休まなければならない生徒もいます。その子達に必要なことは「教育より前に」福祉的保護または、医療と私は考えています。

学校という教育施設の中でできることは限られていますので、それを最大限に生かせる方法を考えなければなりません。

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