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地域の祭りに思う

080712_082201 今日はふぁすの活動ではなく、祭り文化の意義と伝承についてなっきーの地域の行事に参加した報告と感想をお伝えします。

江戸時代から伝わる鈴鹿市下箕田地区の「虫送り太鼓」という神事があります。戦後16年間の中断があったそうですが、その後昼間の子ども太鼓と夜間の大人の太鼓で毎年この時期に奉納されています。

写真は海のそばの箕田公園にひるがえる大漁旗。(すごいでしょ)

080712_141502 一週間前から毎晩太鼓と笛の練習を積んできました。梅雨明け前後のこの季節の午後2時開始の子ども太鼓は正直厳しい暑さです。子ども会の役員は自分の地区の子どもが倒れないよう必死に対応。いまどきの感覚では虐待!と息巻くモンスターペアレンツが現れても不思議のないところですが、これもやはり一種の社会教育なのでしょうね。親も子も汗だくで元気に太鼓を叩きます。仮装で盛り上げる子どももいます。基本的に奉納太鼓ですから決め事が守られます。手軽な町興しではないところが箕田のこだわりなのかなと慣れると楽しみになります。

我が家も風光明媚で穏やかな海岸の生活に憧れて住人になり、地区の子ども会で初めて参加したときには漁師町の荒っぽさに驚きました。太鼓は男、笛は女のような性役割がはっきり残っているのも特徴でした。なじむまでに少しかかりましたが、ここで入学した長080712_185801男は子ども会を卒業してから大人太鼓に仲間入りさせてもらい、ここで生まれた次男は生まれたときから潮騒と太鼓の音で育った箕田の子。学校に入る前には太鼓のリズムが身についています。

思春期に差し掛かりジェンダーにも敏感な娘は性役割に抵抗を示し始めましたが、箕田の太鼓をみると男性にしかできないことを目にします。子どもの胸ほどもある直径1メートル重さ25キロあまりの太鼓を抱えて振り回しながら叩く「送り太鼓」というのがあります。

  高校生になって大人太鼓も4年目になり、体のサイズも大人においついてきた長男は、今年初めてその「送り太鼓」に挑戦しました。下箕田4地区の太鼓が町の真ん中に集結してきて、音の大きさを競うように響いていたのが、いつの間にか一つになって暮れる町に響き渡り、男たちが舞いながら太鼓を叩きます。地位も収入も理屈もなく、素朴に男としての力強さを格好良さをアピールする虫送り太鼓のなかでも「送り太鼓」はハイライト。地区の全員が見守る中、太鼓を抱えた4人だけが叩くのですから勇気と体力と技能が問われます。不器用で子どもの時にはみんなと同じに叩080712_185602けないほど幼かったわが子の勇姿に思わず涙が。

ひとしきりメインストリートで盛り上がったあと場所を子ども太鼓をやった公園に移します。そこにはかがり火が炊かれています。「虫送り」とは、田んぼに発生する害虫をかがり火で寄せ、「送る」という稲作文化の中で欠かせない作業を祭り(祭るとは神に祀るのですから)としたもの。日本古来の「おかげさま」の意識が生きています。鎌倉時代の荘園から行われている箕田の稲作と伊勢湾の漁業で生計を立てているこの地区は「豊作・大漁」を祈願して祭りを行ってきました。

080712_210601終盤には、太鼓を運びながら火に近づけ、この火を巡る攻防があっていまにも篝火は倒れそうですが結局守られてめでたく終わる、という物語になっているようです。

勇壮でとても素朴な地域の住民のための祭りです。幸い我が家は家族で参加させていただけ、本当に貴重な体験をさせてもらっています。未熟な子どもたちが大人と一緒にさせていただくには、地区の方々の寛大な愛情なくてはあり得ません。箕田出身でもない我が家を身内のように招き入れてくださり、そこで大切に育ててもらってきました。おかげで子どもたちは、子どもから大人への移行期に必要な「大人らしい振る舞い」を学ぶ機会をいただいています。大人と同じに扱ってもらえる誇りがまた、子どもを成長させてくれます。

なっきーが日ごろよく唱える「社会性発達」の目標点は15歳で大人と同じ扱いが受けられるかどうかにあります。そ080712_211301のためには中学生時代にこのように「子どもではなく大人の仲間入り」をさせてもらう際、保護者が監督することが大切です。年代が格段に広がり正しい縦位置の関係に身をおいて適切な態度が取れるかどうか、とても難しい課題だと気がつくことでしょう。そのとき親がきちんと指導できるためには、中学生の子どもと向かい合って話し合える環境がなければ実現しないために、文化の世代間伝承が極端に難しくなっています。

子ども会育ちの長男が大人の太鼓につながったということを地域の方々は重く見てくださるのでしょう。多くの成人の方々、またはそれ以上に(年数から言えば妥当といえばそうですが年齢的にはあきらかに身分は下)大切にしてくださることがとても有難く、今後も家族総出で箕田の虫送りに参加させていただきたいと願っています。

自分も男にできることはたいてい何でもできると思い込んで育った現代の都会の子どもでしたので、太鼓を振り回すある種の野蛮さには初め驚きましたが、知識や理屈編重で生きられる方が本当はおかしいのだと教えられました。文字通り体を張って太鼓を担ぐ夫をみて正直感心したのを覚えています。自分も鈴鹿市の男女共同参画審議会に身をおいていますが、男と女の役割が違うから、それを最大に引き出すべきという現代の男女共同参画を理解したのも実はこの祭りに加わってから。

老若男女地域ぐるみで楽しむ祭りは、連帯意識をもたらすと各地で見直されているところですが、単なるイベントに終わらず文化として伝承されていくことを願っています。

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