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ユング的ファンタジー論

大掃除や宿題を手際よく進めて、二夜連続で「ロードオブザリング」を続けて見ました。本当に永かったですよ。なかなか縁がなく見たことがありませんでした。夏休みには「シンドラーのリスト」が今回は更なる長編。ですが私個人の感想は「スターウオーズのファンタジー版」(一旦書いてから調べてみたら、トールキン原作の「指輪物語」は映画「スター・ウオーズ」の元となったとありました。なるほど納得。SWが真似たわけですね)

確かにその後「パイレーツオブカリビアン」のウィル役に起用されたオーランド・ブルームのレゴラス役とか、かっこ良かったです。ゴラクエの原作でもあるそうなので子どもたちは実写版という感じで喜んで見ていましたが、長いわりには物語そのものの深さがないように思います。原作を読んでいないので違っていたら指摘ください。映画は「スターウオーズ」「ナルニア国物語」みんな同じ筋書き。正直者のマイノリティが集まって魔法の力を借りて冷酷て強大な帝国をやっつける。これはアメリカのナショナリズムと関係あるのか?とついユング的に考えてしまいました。ハリー・ポッターもそっちへ話しが流れてきて飽きられてる?という印象。自らの歴史のないアメリカ国民は古い家系や由緒ある家柄へのコンプレックスからファンタジーの世界で「先祖」「民族」のために戦う。相手はもう誰が見ても悪い。一昔前はインディアンでしたね。それが宇宙の帝国軍になり、ファンタジーの魔王の軍勢。強大な軍隊が出てきて戦争するのも大好き。そうやって自分たちをヒーローに見立ててアメリカは悪い国を懲らしにいくことでアイデンティティを保ってきたのかしら?とつい疑ってしまうような安っぽいヒロイズムだと、この年になると思います。共通の外敵を作っておかないと国内で民族紛争が起きるからかしら。

この点は、映画製作のアメリカの好みが反映されていると考えます。原作者トールキンは大戦争物ではなく、もっとホビットのスローライフや中つ国の広大さなどを重点に書いたのではないでしょうか?読まれた方はコメントください。

「レッドクリフ」はオールアジアで作った映画でした。もちろん三国志そのものも、映画も脚色が入って、一番極端なデフォルメはハンサムな諸葛孔明(実際は巨漢)ですが、表面悪の帝王「曹操」が彼なりに「漢」の国民のために大儀を持っていたことや、人間的な孤独や葛藤を抱いていたあたりが共感を呼び、「ドラマ」としても楽しむことができました。エンディングがアジア的すぎと批判もありましたが、史実との整合性もあり苦しいところです。

そう考えると日本の映画も悪くないですね。なぜガンダムがこれほど人気になったかというと、アニメ初の「ドラマ」だったから。私は初代ガンダムの世代ですが、主人公アムロの成長と裏腹にイケメン悪役(これも画期的)シャアの復讐心の原因と葛藤も描かれていたから。

人の社会って、いつも思いますが、完全に悪い人なんていないんですよね。悪の帝王みたいな者は存在しない。誰もに苦しみや悩みがあり、小さな弱さの積み重ねが犯罪や諍いに広がってしまうようなもの。幼児ならば「勧善懲悪」を教えてふさわしいと思いますが、いい大人が自分は正義と思って相手を悪と決め付ける物語を見るのは、侵略的なナショナリズムを助長するような気がする。もちろんアメリカ映画にも無数の名作のドラマがあるのでしょうが、巨額の費用を掛けて大々的に製作するには裏があるのではと勘ぐりたくなる作品があります。「ロードオブザリング」見てないのは我が家くらいかと心配になるほど、メジャーな映画でしたが、どうだったのでしょうかね。

もうちょっとユング的にみると、賢老人もアニマもアニムスも登場しました。エルフは控えめなトリックスター、シャドウもいた。なのにグレートマザーがいないのはなぜ?と不思議でした。それでどうにも落ち着きがないのかもしれない。自分的に。怖いといえば「千と千尋の神隠し」の湯ばあばの怖さに叶う者はないというのもまさにグレートマザーだから(湯ばあばと銭ばで善悪のワンセットのグレートマザー)日本には古来の昔話があり、日本人の怖さを知っている宮崎監督は、おそらく元型も全て承知で描くのでしょう。

原作者トールキンは「ナルニア」の作者とも知り合いだったそうで、二人ともイギリス人です。ハリポタのローリングもイギリス人でやはりグレートマザー色は薄い。アングロサクソンの文化では賢老人やアニマが重要なのかもしれません。ナルニアの魔女もばあさんではなく冷たい美女というイメージで、一種のアニマなのでしょう。全て飲み込む母、というイメージは必ずしも見られません。グレートマザーが怖いのは逆に日本人がマザコンなのかも。

久々にゆっくり楽しむ時間ができました。

世間は大晦日。怖いおかんから離れて冒険の旅に発つ三人の子を見送り、我が家風のお正月準備をします。皆様良いお年をお迎えくださいませ。

また来年もよろしくお願いします。

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