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解離性家族 その2

「宮崎勤精神鑑定」を踏まえてもう少し続けて考えてみたい。

Yougoimg01 インターネット上で見つけたグラフを拝借。厚生労働省の発表した離婚件数のグラフだ。平成14年をピークに離婚率が増加を続けていた。2.3%が最高値で、やや減少した19年度で2.2%。一年毎の離婚件数というのだから、毎年25万組の夫婦が離婚を続けているということになる?もちろんまた再婚離婚を繰り返す人もいるわけだけれど。

離婚自体をとやかくいうことはできないが、毎年相当数の子どもが父か母を失うことになる。ワーキングシングルマザーは当然増える。母親が遅くまで働くと子どもが自然取り残されて、意欲を失って不登校も出てくる。

シングルマザーの子どもが不登校とは言えないが、不登校の子の家庭がシングルペアレントである確率はかなり高い。リスクとは言えそうだ。

もし、そこに、別の要因が重なっていたら?リスクはまた大きくなる。

そんなこと言ったって働かなくちゃ食べていけない。それも事実。自然祖父母に頼ったり、あるいは生物学的は片親の家を行き来したり、(元気のある)子どもは、都合の良い家を渡り歩く。叱られれば寄り付かない。親が都合よく考えれば子供も考える。そうして「保護者」としての責任が薄くなる。

現代型の「解離家族」はそんな様相を呈している。もちろん外見上は一緒に暮らしている大家族もある。宮崎の家庭は祖父や使用人もいる大家族だった。がゆえに、父親は外交活動(PTAや自治会)、母親は自営の新聞印刷の家業に追われていた。

生まれつきの本人の障害は一見見えにくいものだったので、家族の誰も真剣に向かい合うことがなかった。「そんなこと気にしてはいけない」障害を障害と認めない、強さを求める両親だったし、不自由はないと感じて気にしていなかった。

本人は幼稚園のときから、自分が人と違うことに劣等感を覚え、他人との関わりに自信がもてなかった。いつも噂され、馬鹿にされている気がした。

祖父と使用人のお兄さんだけが、彼をありのままに受け入れてくれる遊び相手だった。思春期を過ぎて、社会人になる頃、その二人を急に失った。ことに祖父の突然の死は、彼に変化をもたらした。社会を恐れる彼の壁になってくれた祖父の存在を「姿がなくなっただけ」と思い込もうとして、蘇りの儀式を始めた。つまりそれが幼女の死体だ。

事件当初はひずんだ性愛の結果と報道されたが、精神鑑定を読むと、彼が性的に成熟せず、欲求もそれほどない。そういうことを大人はするものだから、するという程度だ。それよりも死体を食べたり、血を飲んだりという異常な行動の背景には、一体化や死者の蘇りを願う儀式的な原理が伺える。しかも部屋のちゃぶ台に死体を置いて切り刻んでいるのに、家族は誰も知らなかった。

ちゃぶ台といえば、唯一懐かしい家族の一体感が味わえる家具として彼が捨てられているのを拾って使っていたというが、家族は、それさえ「知らなかった」

彼が、どれほど寂しくて、不安で、怖い思いをして育ってきたのか、父も母も関心をもたなかった。それが一番の原因なのだ。

昨日も書いたが、どこにでもある障害や性格傾向なのに、なぜ彼はそんなに異常な殺人鬼になったのか。

そんな風に育てられたのだとしかいいようがない。

ありのままの姿を受け入れることも、弱さを認めることもせず、ただ放置して、生かしていた。学歴や世間体の良い行動があれば満足して、あとは、何をどう感じているかなど考えもしなかった。なぜか?両親が不仲だったから。互いにいがみ合うことで、自分のことで精一杯で、子どものことなど生きていたらよかったから。

父親は清廉潔白な地元の名士と言われたが、育てた母親を責め続け、最後には多摩川へ身を投げて自殺した。聞いた宮崎は「死んでくれてすっとした。」

どこにでもありそうな関係だからこそ、ぞっとする。

離婚家庭の増加は直ちに犯罪者を増やすとは言えないが、離散家庭によって子どもの心が置き去られないか、不安だ。

離婚したが子どもの心のケアはどうしたらよいかと相談をうけた。市町には「子ども家庭相談室」という類の相談室が設置されていて、専門のスタッフが駐在する。金銭的な福祉支援も保育所の紹介も、シングルマザーの育児不安もなんでも聞いてくれる。私はすぐそういう場所を勧めた。

他人さまでは励ましたり聞くことができても、力になることは難しい。専門機関につながっていつでも支援が受けられる環境を作って、頑張るしかない。

リスクはある。それを受け入れることからはじめてもらうしかない。

励ますとしたら「離婚に関係なく、子どもの心はおき去られることがあるから。」

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